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しんしゅうてんまきょう

神州天馬侠

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《神州天馬侠(しんしゅうてんまきょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 511,765 字 · 1011 頁

青空文庫

オオ落花みじん、相手はふんぷんたる白点につつまれたであろうと見ると、それとはちがって、竹童の手からパッと生まれて飛んだのは、まッくろな羽に赤い渦のある鎌倉蝶々、――蛾次郎の目へ粉をはたいてすぐにどこかへ消えてしまった。

いよいようろたえた泣き虫の蛾次郎、たわいもなく竹童の足がらみにけたおされて、ギュッと喉笛をしめつけられ、さらにうらみかさなる拳の雨が、ところきらわずに乱打してきそうなので、いまは強がりンぼの鼻柱がくじけたらしく、

「たッ、たすけてーッ、神主さま、神主さま」

最前、ここをだしてくれなければ、火をつけるぞと悪たれを吐いていた、その弁天さまのほうへ、声をしぼって救いをよんだ。

二

その晩である。

瘤だらけになった蛾次郎と、みみずばれをこしらえた竹童とが、菊村宮内の住居のほうで、かた苦しくすわらされていた。

昼間、もう少し蛾次郎がやせがまんをしていたら、竹童のためにしめ殺されていたかもしれない。あのとき、すぐに宮内が馳けつけて引き分けてくれたからこそ、かれの頭が多少のでこぼこを呈しただけですんでいる。

「なんとしても、ふたりは死ぬまで、敵となり仇となり、仲よくしてはくれないというのか。