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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁
ともあれ、高氏は、赤橋家の人々とも、その日の一日でもうよく溶けあっていた。むしろ登子の方が他人行儀に見えた。彼女は始終、自分を外がわにおいて、良人と里方の者との融和を見ながら、ただ興じ合うているような姿であった。
おそらく、ただの里帰り以上な複雑さが、彼女の胸にはあったであろう。――ゆうべ閨に入るまえの良人のことばが、ふと思い出され、そして、ここでの高氏の無邪気さや他意なさも、逆に底知れぬ人のように見えていたかもわからない。
一日おいて。
結婚七日目には、また、夫婦そろって、執権ノ亭に伺候し、高時に拝謁をとげた。――高時は、あの特有な、かなつぼ眼で、若いふたりを無遠慮に見くらべ、
「なるほど、似合いの夫婦だの。――のう道誉、うらやましくないか」
と、いった。
ほかにも侍者は大勢なのに、特に道誉を名ざしたのはどういうわけか。高氏には気にかからぬこともない。しかし道誉はつつしんで、台座へ答えた。
「まこと、北条御一門の内に、花を加えられたようなもの。祝着この上もございませぬ」
高時は、大きくうなずいて、さらに言った。
「高氏、登子。ふたりとも今日は夜まで遊んでゆけ。