輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁
「つまり、閑であれば、人が山を見。忙しければ、人は山に見られているということなので」
「ま、そうだな。すべての忙は、閑には敵わぬとでもいっておこうか」
「さてさて。若殿にはご幼少から、よく足利学校の書庫で、沢山な書をごらんなので」
「いや、この一詩は、先年、那須の雲巌寺よりお帰りのせつ立寄られた疎石禅師から示されたものよ。……ああ、あの御僧も、その後、どこを雲水しておらるるやら」
ふと、眸をあげたときだ。期せずして、乗合い客の一人物の眼と、彼の眼とが、なんとはなく、ゆき会った。
舟は、老幼男女、いっぱいな客を盛っている。尼、傀儡師、旅商人、工匠、山伏など――雑多だった。――その中で、何かに腰かけ、独り静かに、読書していた狩猟装束の若公卿がある。
後ろには、拳に鷹をすえた小冠者も控えていた。
「…………」
じっと、こちらを射たのも一瞬、公卿の眼はすぐ書物の上に他念もない。紙面の宋版の木活字が時にひらひら風にうごくのを、又太郎はなお凝視していた。
――山、我を看るか。我、山を看るか。
公卿の注視も、じつは又太郎の方にあるのかも分らない。
午をまたいで、舟は江口、鳥飼などの岸へ寄るたびに、なお、乗客を加えていた。