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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁
まず一同で、外から仔細をお告げ申しあげ、よく御得心を仰いだ上で、迎えの駒へ、おすすめいたすがよいかと思う」
「駒は、どうした」
「駒は彼方だが」
「たれか、それも曳いて来い」
やがて、顔が揃うと、年かさの一人が、やおら御堂格子の前へすすみ出た。そして、鎌倉者には見られない素朴な郷武者振りで、こう呼びかけた。
「――内なる尼前のおん母子へ物申しまする。これは足利殿の末党一色村の者どもですが、きのう不知哉丸さまの母御前より、途中、ご危難のよしの報らせをうけ、おあるじ刑部殿のいいつけにて、夜来、ご安否を案じて、お尋ねし抜いておりまいた」
「…………」
「さ候えば、ゆめ、怪しき者どもではございません。なにとぞ、ご安心のうえ、刑部殿よりおさし向けの駒の背へお移りあって、われらどもの案内に、しばしお身おまかせ願わしゅう存じまする」
「…………」
「――これより山越えで南へ五、六里。一色ノ郷には、きのう途上にてお会いなされた不知哉丸さまの母御前藤夜叉さま、お主の刑部殿、ほか一族どももお待ち申しておりましょう。――さらには、次の都へのお旅路とて、ふたたび、昨夜のごときご不安はおかけ仕りませぬ。