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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(一)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 頁
……これにて、お待ちあるうち、やがて高野街道より、頼春と菊王が、首尾を果たして、引っ返して来ましょう。その上で御思案をさだめ、和泉路から紀州高野へ出れば、なんのお障りもございますまい」
豊麻呂のそんな気苦労を聞くよりも、俊基には、はからずもここで見られる散所の民の生態やら、また、彼らの手によって運輸されたり、商われてゆく物資集散の盛んな光景が、なんとも珍しく眺められた。
各地にある“散所”というのは、貢税のかからない無税の地のことである。河原、芦原、瓦礫の巷など、不毛の土地には税がない。
ところが、その不毛を好んで集まり住む人間が、年々多くなっている。――苛酷な地頭に反いて去った流民やら、各階級にわたる失業者だ。怠け者、勤勉な者、不平の徒、楽天の徒。――総じていえることは、どこに寝ても何を喰べても腹をこわすことなどない旺盛な野性の生命力だった。それが集合して、わんわんと“不毛を食う”強力な営みをなしているのが散所の民だった。
散所と、散所民は国々にある。
わけて、ここ古市は、和泉野の流れや、葛城、生駒の水が落ち合い、曠野の水郷をなしていた。不毛の地だらけだし、散所民の大天地でもある。