輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(三)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 222,108 字 · 446 頁

青空文庫

と、小山秀朝は、こう状況を語ったうえで、

「……しかしなお、敵に再度の目企みがないとはかぎらぬゆえ、千葉ノ介は船坂に殿軍して、明日の夜ごろ、院ノ庄に追ッつく手筈となっており申す」

と、つけ加えた。

「やれ、やれ。……それでやっと今夜からは熟睡できよう」

こういったのは、秀朝の労にたいする謝意を、べつのことばで表現してみせたにすぎない。

およそ何が愉快なといって、自分の先見の策が図に中って、予想以上な奏功を答えに見た時ほどなものはあるまいと、彼はいま独りで謀略の快味に酔っていたのだった。

「もう急ぐこともない」

急に彼も疲れをおぼえたか、その日は、陽も早目に、福岡村の雲清寺に入った。

小山と共に帰って来た千種忠顕と一条行房のふたりも、その夕からは、帝の侍者として、おそばに侍いた。――だからこの二人から、帝もうすうすには、船坂山のことを、お耳になされたには違いあるまい。

そのせいか、ずいぶんなお疲れでもあろうに、雲清寺の行在所では、帝のおん眉は明るかった。「――どこかには、わが身を見ている宮方がいる。このぶんでは行く行く再起の望みも難くはあるまい」そう一道の光明を感受されておられたものか。