輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(三)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 222,108 字 · 446 頁

青空文庫

今、思えば。

高氏はそんな彼女を、つい、自分たちの社会へ引き込む科を犯していた。

そもそもは、子を生ませたことが是非ない方向をとらせたのだが、その後悔から、高氏は彼女を鎌倉におかず、またその生みの子も、嫡系に入れ得ずにある状態なのだ。わけて人知れぬ大望を抱く高氏にすれば、彼女の無教養が、未来には逆な不幸にならぬかぎりもないことは、ふかく惧れていたにちがいあるまい。

しかし、こんどの科は、彼女自身が、われから招いたものだった。無断で子を連れて、こんな都の、しかも殺伐な時に出て来たことが因である。今となっては、どう道誉を憎んでみたところで、虚空に答えもないのだった。

×       ×

一条ノ末、相国寺裏の裏町。

どこ一軒、起きている灯もみえない真夜半を、三、四人の童が、

「たいへんだよっ、誰か来ておくれよ、人が死ぬよ」

と、わめいていた。

ほど近い吉田山の法師の庵から、いつものように、ほかの童と、高野川の落ち口へ、夜網を懸けに行っていた命松丸も、その中に交じっていた。

「なに。女だって」

「身を投げたのか」

大人たちは、彼らの後から、わらわらと駈け出した。