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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(三)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 222,108 字 · 446 頁
――ソノ後、海内一ニ帰スルコト三年、又モ猴(さる)ノゴトキ者、天下ヲ掠ムルコト三十余年、始メテ、大凶変ジテ一元ニ帰セム」
兵はぽかんと聞いている。わかったような顔つきは一つもない。
「わかるまい」
俊秀は逆を言った。
奉書を巻きおさめて。
「いま読み聞かせたのは、日本一州未来記というものの抜書の一節なのだ。――その未来記一巻は、かしこくも、この御寺を創てられた聖徳太子の書きおかれた秘封なのだが」
そっくり、談義僧口調である。
「さるを特に、わがおやかた多聞兵衛殿へは、その忠誠にめでて、内見をゆるされ、今朝、秋ノ坊の別当とお館とただお二人ぎりで、斎戒沐浴のうえ、上宮太子の御霊屋にて、そっと拝覧を給わったものだ。……いや、まだこれでも、よう解けまいが」
それから彼は、その秘文未来記の解釈を、わかりやすく説いて行った。
人皇九十五代とは、とりも直さず、後醍醐帝の今の世をさす。
東魚とは、関東の逆臣北条。
しかし、帝の島隠れをいう――日ノ西天ニ没スルコト――も一年にすぎない。
西鳥が、東魚を呑む。
西鳥とは、西国の宮方である。帝のお味方が起って、北条氏は亡ぶ。