輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(三)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 222,108 字 · 446 頁
「ここよ」
夢の中で帝はおもう。
「……いまは幕府に追われて都門を捨て、紫宸の廂もない身であった。たのむ木蔭の宿は、これだろうか」
と、涙しながら佇み寄ると、こずえの空から虹のごとき彩雲が降りてきた。――見れば、雲に乗った二人の童子で、
「わたくしは、弥勒菩薩のみ使いです」
と言い、もひとりの童子も、それに倣って、
「わたくしは、虚空蔵菩薩のおいいつけでまいりました」
と、あきらかに告げた。
そして、その二童子のいうことには、
「大いなる宇宙の循環は、人間の知恵では測り及ぶところではありません。武家の大逆もさることながら、ここしばしは、日月も暗うなり、至尊たりとも、天が下にお身を隠す所すらない乱れを地上にみるでしょう。――けれどこの大樹の蔭、南枝のさしている方角こそ、つねにお身をおくのに安泰な御座です。なにかにつけ、南枝をたよりにおぼし召しあるがよろしからんとのおさとしにござりまする」
朗々の声が、現の外でしたと思うと、童子は見えず彩雲は消え、そして小鳥のさえずりや、笠置の朝の寒風に、
「……夢か」
と、眼ざめ、さめての後までうつらうつら、
「不思議な夢をみるもの」