輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(三)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 222,108 字 · 446 頁
「正成、気強う思うぞ」
直々のお声だ。――伝奏を期していた正成はどう答えていいかわからず、ただ「はっ」と、体が言ったのみである。
そのあとから、花山院師賢、千種忠顕らが、帝に代って、かわるがわる訊ねた。要は「関東を打ち破るてだてはどうか。忌憚なくその謀計を述べてみよ」と、いうのであった。
ここで、正成が答えたことばとして「古典太平記」は、こう書いている。
「――合戦の慣いです。一旦の勝負に、一喜一憂なされてはなりません。正成一人生きて在りと聞こし召すあいだは、お心丈夫に、いつかは聖運の開かれるものと思し召しあって、およろしいかと存じまする」
たしかに、彼に勝算などはなかったろう。単なる武力だけの比重なら三歳の児童でもわかりきった戦いである。それも充分知っての上の正成とすれば、大言には似るが、あえて自分を巌頭に立たせるためにも、このくらいなことはいったかもわからない。
けれど、思慮にも富む彼である。気休め同様な自負や、そんな気概だけを述べて、得々とはしていなかった。べつに自己の謀とする抱懐もつぶさに述べて、やがて笠置を退がったにちがいない。――とにかく正成は、また即刻、河内の水分へ帰って行ったのだった。