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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

――足利若御料の紫の旗もまた、明けがた、遊行寺の門に濡れ垂れた。

「ここの寺は時宗だの」

義貞は、これへ着いても休息をとる容子はない。ただ雨も小やみと見、船田ノ入道が、寺内の広場に床几場を設けて。

「されば。一遍上人の起した藤沢道場とはここの由でございます」

「では、寺中には、たくさんな男女の阿弥衆がおりはせぬか」

「おるかもしれませぬ」

「まず、それを洗え。とかく念仏一向の仲間には、まま敵がたの曲者がまぎれこんでいるものだ。――義助にそう申せ」

その脇屋義助は、兄の旨をうけると、まもなく二人の虚無僧を寺中から拉して来た。

笠、尺八は持っているが、後世の普化僧みたいなものではない。雑多な物乞い法師や旅芸人のなかに生じた一種の半俗僧といってよい。

「義助、怪しい奴か。この二人は」

「いや、お味方です。遊行寺に潜んで、今日のご着陣を、待ちかねていたものと申しまする」

「ほ。たれのお使いだの?」

義貞は、ていねいになった。虚無僧二人は、大塔ノ宮の党人、三木俊連の家来であり、合力の牒状を持って、これへ潜行して来た者とのことだった。

その合力状によると。

かねがね、大塔ノ宮の密命の下に、三河半島の一角で待機していた船団がある。