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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
「ウむ。そうありたいもの。……さしずめまた若御料のお住居も、こう御家来がふえては、いまの別当房では、どうにもなるまい。それから決めよう。誰ぞ、義助をよんでまいれ」
その脇屋義助が見えると。
「義助か。……どこぞに、焼け残っておるよい館はあるまいかの」
「さあて?」
と、義助はそこへ焼け跡の図面をひろげた。そして。
「ごらんのごとく、武家屋敷も軒なみ焼け亡せ、雪之下、塔ノ辻、大町、佐介、すべて茫たる焦土でございまする。たまたま残った門や家には、はや諸国の武士が混み入っておりますし」
「大蔵の、かつての足利殿の屋敷はどうなった?」
「もとより灰燼です」
「二階堂の、道誉が屋敷跡は」
「焼けました」
「では、寺よりないな」
「その寺院とてあらましは瓦礫となり果て、火をまぬがれた円覚、建長寺などへは、五山の僧が、ひしと詰まって、兵馬を入れる余地はございませぬ」
「しからば、何としたものか」
「いかがでしょう。――扇ヶ谷の、元、上杉憲房どのがおられた家は」
「扇ヶ谷は、ここより地の小高い場所になるな」
義貞は考える。
自分の館のある所より、足利若御料の邸が、高くにあるのはまずいらしい。