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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

というほどなお口吻にもなり、事は瑣末だが、解けないしこりとなっていた。

宮が、信貴山をくだって、いよいよ入洛されたのは、六月十三日。その下山の日の行粧も宮らしかった。

赤橋則祐が千余騎でその前陣をうけたまわり、二番陣は殿ノ法印、三番には、四条隆資の五百騎、四番には中院ノ定平が八百余騎をひきい、宮の親衛隊には特に屈強な精兵五百人が、すべて長やかな帯刀で、二列にそろって進んで行った。

思うにそれらは、かつての熊野山伏の徒だの、また十津川、吉野いらいの、木寺相模、矢田彦七、平賀三郎、野長七郎、岡本三河坊といったような直参中の直参たちか。

そして、大塔ノ宮ご自身は。

“白石毛”とよぶ白馬にまたがり、赤地錦の直垂に、緋おどしのよろいを着、兵庫グサリの丸鞘の太刀をはき、重籐の弓をお手に、鵠の羽の征矢をえびらに負っておられたという。

いかにも、宮将軍らしいお好みだ。

沿道には「増鏡」の筆者のような目撃者もいたことだろう。このいでたちの宮の姿は、よほど都人士の目をそばだてさせたことらしい。その英姿を称えるとも怪しむともつかないきが諸人の間に流れていた。

「えらいお変りようじゃな」