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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
「まずはそうだ。細川兄弟が見えたのをば幸いにな……。相互がこのせまい土地にひしめき合うていては紛糾沙汰を増すばかりゆえ、義貞は上洛いたす……と。そしてあとは若御料がよしなにここを治め給えと、恩にきせて、申し告げてやったわけだ」
「でも、せっかくお手に入れた鎌倉をむざと捨てても?」
「いや、いまは鎌倉などにいる時ではない。時局の機微も中央へ出てみなければ分らぬし、恩賞の分配、官職の等差なども、すべて中央できまるのだ。義助、そちと船田ノ入道とで、さっそく、上洛の準備にかかれ」
義貞の上京を、古典太平記が、あくる年の建武元年としているのはまちがいで、彼の出した“上野ノ国宣”や任官日時などからみても、鎌倉占領後からまもなく、同年秋には、はや、都へ出ていたことは確実といってよい。
中原の鹿
それを追う地は、もう東国ではなかったのである。――また朝廷をはなれての領土の分配や任官もありえなかった。
すでに、朝廷ではあまねく、こんどの革命に軍功のあった宮方将士に報う「論功行賞」の調査機関が開始されているとも彼は聞いている。――そんな点も心をおちつかせていなかったろうし、内々には、大塔ノ宮のすすめもあったかと思われぬこともない。