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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

だから、土地の分配に、まずその考慮がはらわれていたわけでもある。力は土地だ。しぜん天皇も帝室領の拡大を度外視してはいられない。――すなわち、旧北条高時の領は、すべて御料の内へ入れ、高時の弟泰家の所領は、大塔ノ宮のものに。また大仏陸奥守の土地は、そっくりこれを、准后三位ノ廉子の御領とした。いやまだそれ以外にもたくさんな分け前が、先に取られる処置とはなった。

すこし極端な筆法ではあろうと思われるが、古典「太平記」には、

このほか相州一族の地

関東諸家の所領をば

させる功もなき宮廷内の

伶人伎女、衛府の諸司

女官、僧侶にまで

一跡二跡と

内奏より申し賜はりければ

いまは武士に頒つべき地も

闕所すべて、残り少なになりにける

などと見える。

これほどでないとしても、准后の阿野廉子あたりから、内々、内奏の運動がおこなわれたのは事実であろう。彼女が天皇の寵をもっぱらにする後宮第一の女性であり、またさかんに賄賂を容れ、美言をよろこぶ質のひとであったことは、諸書、どれに照らしても一致している。

世評、これとすれば、この手で、彼女や堂上の要路へ、うまく取り入って、ほくそ笑んだ人々は、あながち宮廷の周囲とだけはかぎるまい。