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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

うまくゆくかな?」

「それこそは、やさしいものです。ご心配にはおよびませぬ」

まもなく。

「行ってまいりました。殿ノ法印どののご返書はこれに」

と、忠顕の前には、さきに六角へ行った使いの二名が戻って、ぬかずいていた。

「ほかに口上はなかったか」

「は。ございませぬ」

「そうか。退がってよい」

そのあとで、忠顕は、道誉へ言った。

「一議におよばず、貴意に委すといって来た。これでよかろう」

「おかげで獄中におる多くの凡下どもの首が救われました。あとは楮幣の流通をさかんにしてみせるだけが、道誉の責任にございまする」

「そこで、お辺の腹にある一案というのは?」

「追い追いに申しあげましょう。釈迦に説法のようで恐縮でございますが。……そして、なおこの上の御助力を仰がねば実現もかないませぬで」

と、道誉はここで、貨幣と人心との微妙な反射作用だの、元朝の故事だの、そして昨年度は、全国的に気温が高く、五穀豊作でもあったから、楮幣の裏付けは、充分に可能なはずであるなどと、自分の経済観から割り出したかぎりのものをかたむけた。

「なるほど。むむいかにも」

と、忠顕は、ほとほと感じ入ったていで。