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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
「ご新政も、ご新政だけれど」
「まったく、どんな世直しかとおもったらね」
「イヤ、がっかりだよ。前代以上、権柄ずくで、おッかない政府ができてしまってさ。こんなことなら、前のほうが暮らしよかったと年よりたちは言っていますな。たとえば楮幣にしたってさ」
「そう。一時は楮幣楮幣と大人気かと思ったら、ここへ来てまた、銭でないと、商人たちはいい顔をしてくれない」
「そのはずさ。いくらでも後から後から紙の札が出て来るうえに、銭の“乾坤通宝”も鋳直したので、いぜんの物よりまるで銭の質が悪くなった」
「だから今日の銭百文は、前の銭四十文の物しか買えず、それが楮幣だと、ただの十文ぐらいな物しかくれない。……それがいやなら、お断わりと来る」
「ほんに、貧乏人ほど暮らしにくくなったものさね。そのくせ、世間は建武景気とかいって、何か浮かれきっていましょうが」
「わけがわからない」
「いったい、どこが金まわりがいいんでしょうな。紙のかねでも、値が下がった鐚銭でも、うんと出廻っていればまた、うんとふところのいいやつが出来るにちがいないが」
「ま。ぼやいてみたって、わしらには向う河岸の眺めさ」