輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁

青空文庫

――彼にそれほどな色気があればこそ、自分を狙い寄った刺客の小六もわざと正季の手もとへ返してやったのである。ただ正成がここでそこまでの尊氏の腹を読んでいてくれるかどうか、ではあった。

いやそこは心もとない。

律義一偏だ。今夜も観ているに、正成とは、ものごとの表裏を余り疑わない人間らしい。王政一新の中興政治が、ことごと、幻滅的な世態をよびおこしている実状にも、その憂いは、自分とは両極なほど違った憂いであるかもしれないのだ。――それへ自分の抱懐している完全武門統治にひとしい志を洩らすとしたら? ――。どうだろう。いや、これはあぶない。

尊氏の心のものが、その目のうちに、かげろうのように燃えては、また迷っていたときだった。

「どなたさまか、まだこの内においででございますな」

廊の外で声がした。夜殿の諸所を戸じまりに廻る六位ノ蔵人と舎人のようであった。

それをしおに、尊氏と正成とは校書殿ノ廊を出て、

「お、いつか夜更けていたとみえる」

と、二人して星を仰ぎ、

「おもわず話にみがいって、みじかい時間のように思われていた。河内どの。なかなか語りつきた気もいたさぬ。いつかまたゆるりお会いしたいものだの」