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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
鑁阿寺の置文
を遺して死んだ足利家時につかえていたもので、いわば足利家代々の譜代である。だから尊氏とは生れながらの主従であった。しかし、師直は足利家の家風からはまったくハミ出しているところがあり、人間的には尊氏とどこも似ている点はなかった。むしろ、尊氏よりも道誉にちかい当世型の婆娑羅肌といってよい。
道誉とは、まだ鎌倉のころ、滑川の妓家で、双方、極道の面をさらけ合って、飲んで、喧嘩別れをしていらい、逆に、あれからはどっちも「おもしろいやつだ」と見て、この都でもつきあいをつづけていた。そして、その密度は主人尊氏をおいて、個人的にまで深まっていた。
といっても、この婆娑羅同士のことである。
遊宴、放逸、どんな酒間においても、腹のなかのより大きな欲望はいつも忘れていなかったろう。――で、おそらくはこの朝、師直が尊氏からゆるしをえてかかった或る一秘策なども――それをすすめた原案者は、案外、彼ではなくて佐々木道誉であったかもしれない。
なぜなら、そのご或る苦肉の計がはこばれて行った過程には、あきらかに道誉も蔭ではたらいたらしい形跡があるからだ。もちろん師直も、冷泉家や斎宮などをとおして、それとなく当の大敵、大塔ノ宮を陥れる讒を植えてゆき、道誉もそれにあわせて、馴じみの武器商人や公卿貴紳のあいだに、巧妙な流言をまい