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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
しかし、それきりであった。凝然と、彼らの土足は棒立ちをつづけてしまった。
大納言資名、宰相ノ有光、中納言経顕らのわずかな公卿が、身を楯とするように坐ったままこっちを見て、
「玉座であるぞ」
叱ったように聞きとれる。
下に居よ、との意味であったろうが、かすれて、声もなさず、なお、何か言ったことも、よくは分らなかった。
「うーむ」
と、賊どもは、うめいただけで、めずらしいことでも見たように、よけい無遠慮な眼を光らせた。
光厳、後伏見、花園、女院の二、三みなお体をひとつに寄せ、寄りかたまったそのままに、半ば失神していたのである。まるで落雷下の物のように。
ともあれ、ご無事ではあったのだ。――堂外では供奉の六波羅武士四百余名が、枕をならべて自害したが、まずまず、おつつがなきをえたのである。古典ではここの所を、
主上、上皇は
この死人共の有様を
御覧ずるに
肝、心もお身に添はず
只あきれてぞ御座しける
とばかりで、つぶさな描写を避けているが、およそ、ばかげた書き方である。越後守仲時らが、ことごとくその責めに任じて自刃しているものを「――ただあきれてぞおはしける」などというお心でいられたろうか。