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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《胡堂百話(こどうひゃくわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 124,386 字 · 248 頁

青空文庫

あとで調べると、あんまり見幕がすごかったので、敵は戦意を失った。それほど水ぎわ立った武者振りだった……というのは、私が入社する少し前のことである。

出世作「三日月」で、世に出るまでの村上浪六は、浴衣にネジリ鉢巻というベランメエ姿で、校閲部にとぐろを巻いていた。松居松葉は、六人前の仕事をしたが、村井弦斎は十二人分の仕事が出来た。そういう伝統の残っている編集局だった。

私を紹介してくれた安村省三は、列車の便所で名声をあげた。外国からの国賓が、入京する日のことである。東京駅はまだ出来ず、新橋駅へ着くのだが、新聞記者は、中へ入れない。ホームを二つばかり越えた待避線に、空の列車があるのを目につけ、前の晩からその便所にもぐりこんだ。いよいよ到着の光景となって、そっと便所のまどをあけると、隣の客車の便所から、同じように頭が出て、

「やあ、安村君、くさくないかい」

と言ったのが、朝日の杉村楚人冠氏だった。眼でみた到着風景は、むろん、両者だけの特ダネになった。

谷好文という、いい記者がいた。本所に宵強盗があって現場へとんだ。被害者のお婆さんに話をきくと、覆面して侵入した強盗は、ものを言わずに手真似で脅かし、奪った衣類を風呂敷へ包み、ヒョイと左の手を曲げて水平に載っけたというのである。