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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 鬼の面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,082 字 · 257 頁

青空文庫

俺は相手が用心しないうちに、もう一つ突っ込んで調べ度いことがある」

平次はお静を家へ帰すと、其足ですぐ向う柳原の八五郎の巣を訪ねました。

「おや、親分、珍しいことですね、親分の方から此方へ来るなんて、まア/\」

などという八五郎を押し留めて、

「直ぐ仕度してくれ、新鳥越へ行くんだ」

「お比奈のところですか、今日も一度覗いて来ましたが、――」

「精の出ることだ」

二人はあまり冗談も言わず、銘々のことを考えながら新鳥越の越中屋へ行きました。もう日が暮れかかって居る頃です。

「ま、親分さん方、こんなところへ」

などと、お比奈は嬉しそうに二人を迎えてくれます。

「病人はどうだえ、世話の焼けることだろうが、お前は感心だよ」

平次はお比奈の勧めるままに、狭い店の中に入り込みました。

「今丁度晩の仕度のところでした」

「そうか、兄さんもお前がよくしてくれるので、安心して居る様子だよ」

「本当に済みません。兄さんが臆病なばかりに、飛んだ御厄介になって」

「何んの、そんな事は構うものか、ところで、俺も何んかの縁だ、ちょいと病人の見舞をして行き度いが――」

「汚いところですが、どうぞ」

平次はお比奈に案内されて、たった一と間の病間へ入って行きました。