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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(九)不死の霊薬

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁

青空文庫

助七の肩先の傷を見て、外科医者はニヤニヤしております。

「こちらは、先生?」

「お神さんの方は何ともないよ、足の筋なんか、駕籠屋より丈夫だ」

「それで結構、とんだ手数でした」

平次は外科医を送り返してから、八五郎に眼配せして、いきなり助七夫婦の襟髪を取って床から引出しました。

「太え野郎だッ。金の茶釜がなくなった申し訳に、自分で引っ掻きなんか拵えやがって、――浪人者に斬られたもないものだ。本当の事を申上げないと、二三百引っ叩いて、伝馬町へ送るぞ」

平次の剣幕はいつにない猛烈を極めます。

「申します、親分さん、申します」

「さア、言え。本当の事を言わないと」

ガラッ八も十手を閃かして二人の鼻先に詰め寄ります。

「本当の事は、何にも知らなかったのでございます。翌る朝、金の茶釜がないことに気が付いて女房と口を合せて、あんな細工をしました。寝ていて知らなかったでは済みません、浪人者に斬られた事にして、チョイと肩先を引っ掻き、ウンウン言って寝ていたのでございます」

「何という野郎だ、――サア八、これで風向きが変ったろう。金の茶釜は、この小屋になきゃ増屋だ、床下も天井も、みんな捜せ」