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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九)不死の霊薬
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(九)不死の霊薬(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,106 字 · 292 頁
「番頭を呼んでくれ」
平次が言うと、お雪は呑込んで部屋の外へ出ましたが、間もなく、番頭の喜助をつれて来ました。
「ヘエー、親分さん、御用で?」
「先刻お前さんがこの部屋へ入った時、主人は生きていたのか、死んでいたのか」
「それがよく判りません。――私は部屋の入口から声を掛けただけで、お傍へ寄ったわけじゃございませんから、お返事がないのを、よく眠っていらっしゃるものとばかり思い込んでおりました」
「どんな用事があったんだ」
「今日の帳尻と、荷繰りのことを申上げる心算でございました」
「そいつは毎晩やるのかい」
「毎晩やることにはなっておりますが、晩酌をお過しになると、ツイ面倒臭くおなりの様子で、ヘエ」
喜助はお吉の顔を顧みて、場所柄ながら少しばかりにんがりとします。
「お前さんここに何年居るんだ」
「三年でございます。――でも、大坂に居る時分からの御引立てで、旦那様にお目にかかってから、かれこれ十年にもなりましょうか」
「大坂はどこに居たんだ」
「あの、心斎橋通りに居りました」
「何という家だ。商売は?」
「大坂屋、――油問屋でございました、ヘエ」
「主人は人手に掛って死んだに相違ないが、お前には心当りはないかえ」