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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(六)結納の行方(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,597 字 · 289 頁

青空文庫

少しは付き合っていい心持にさしてくれ」

「親分子分の間柄だ」

「馬鹿ッ、まるで掛合噺みたいな事を言やがる、手っ取り早く筋を申上げな」

「親分の智恵を借りてえというのが、外に待っているんで」

「どなただい」

「大根畑の左官の伊之助親方を御存じでしょう」

「うん――知ってるよ、あの酒の好きな、六十年配の」

「その伊之助親方の娘のお北さんなんで」

ガラッ八はそう言いながら、入口に待たしておいた、十八九の娘を招じ入れました。

「親分さん、お邪魔をいたします。――実は大変なことが出来ましたので、お力を拝借に参りましたが――」

お北はそう言いながら、浅黒いキリリとした顔を挙げました。決して綺麗ではありませんが、気象者らしいうちに愛嬌があって地味な木綿の単衣も、こればかりは娘らしい赤い帯も、言うに言われぬ一種の魅力でした。

「大した手伝いは出来ないが、一体どんな事があったんだ、お北さん」

「他じゃございませんが、私の弟の乙松というのが、七日ばかり前から行方知れずになりました」

「幾つなんで」

「五つになったばかりですが、智恵の遅い方でまだ何にも解りません」

「心当りは捜したんだろうな」