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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十五)茶碗割り

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十五)茶碗割り(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,804 字 · 225 頁

青空文庫

「ゆうべ引窓を閉め忘れたんじゃないか」

平次はやはりこう訊く外はなかったのです。

「とんでもない、親分さん。私は二度も戸締りを見てから休みましたよ」

三十がらみの働き者らしいお大、躍起となって弁解します。

伝六の死骸は、殺された部屋の次の間に、傷口に繃帯だけ巻いて移してありました。平次はいつもの慎み深い態度で――そのくせ恐ろしく念入りに調べましたが、顔の表情など至って穏やかで、なんの苦悶の跡も留めず、傷は左の乳の下を一と突きだけ、いかにも鮮やかな手際です。

凶器は恐ろしく変っておりました。それは三尺ほどの柄を残した、笹穂の手槍の折れ。

「フーム、こいつは恐ろしい道具だ」

平次はその斑々たる手槍の折れを眺めております。

「そいつは二階の長押にあったんだ。まだいろいろな道具があるのに、それを選り出したのは変じゃないか」

留吉も凶器の特異性には気が付いた様子です。

「二階を見ようじゃないか」

平次は先に立って、店二階へ登りました。ガラクタといっても大家で、膳椀も布団も立派に使えるものばかり。土蔵へ行くのが面倒で、日用の雑器をここへ入れて置くのでしょう。その中に一つ、古い刀箪笥があって、中には長いの短いの、いろいろの得物を取揃えてありますが、曲者がそんなものには眼もくれず、長押に埃を被ったまま掛け捨ててあった槍の折れを