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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十五)茶碗割り(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,804 字 · 225 頁
「曲者はどこから入ったんだ」
ガラッ八が思わずこう言ったのも無理のないことでした。
「それだよ、八五郎親分」
新吉は八五郎の顔に拡がる困惑を享楽するように、階下から二階を案内します。二階の八畳は西と北が塞がって、南は縁側、梯子でも掛けて内から雨戸を開けて貰わなければここからは入れそうもありません。
「雨戸は?」
「そこは念入りに閉めてあったそうだ。用心棒の力松と下女のお石と番頭の周助の口が揃うからこいつは疑いようはねえ。もっとも開けっ放してあったにしても、梯子でもなきゃその危ない庇に飛付いて二階へ辿り着けっこはねエ」
新吉は狭くて高い庇や、梯子の跡などはない中庭の湿った土などを指すのでした。二間ほどの空間を隔てて、向うは恐ろしくやわな忍び返し、恋猫が踏んでも一とたまりもなく落ちそうです。
「こっちは開いていたんだね」
東の方は腰高窓、そこを開けると、これはずいぶん塀伝いに登れないことはありません。
「主人の金右衛門が疳性で、どこか開いていなきゃ夜寝付けなかったというぜ」
新吉の言葉には妙に思わせ振りなところがあります。
「それじゃ、曲者はここから入ったと言っているようなものじゃないか」