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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十五)茶碗割り

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十五)茶碗割り(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,804 字 · 225 頁

青空文庫

「――清六どんの出たのは、皆んなよく存じております。それっきり一刻(二時間)待っても帰らないので、表戸を閉めさせ、裏口を開けて寝てしまいました」

「不用心じゃないか」

「でも、夜遊びなどする人ではなし、必ず帰ると思いましたので」

「それっきり帰らなかったのだな」

「ヘエ。――ゆうべ帰らないのを、今朝になって気がつきました。店中で騒いでいると、柳原で殺されているというお使いで――」

「ところで昨夜誰も出た者はないのか」

「なかったはずでございます」

「裏口を開けたまま寝てしまったのなら、それから出た者があるかも知れないではないか。――風呂から帰りかけている清六を途中から柳原へ誘い出して、殺すという術もある――」

苅田孫右衛門はさすがに気が付きます。

「番頭さんは長湯かえ」

銭形平次は不意に口を挟みました。

「いえ早い方で。毎晩入るから。――俺のは烏の行水だ――と申しておりました」

金次はぼんやり顔を挙げます。

「表戸を閉めたのは、確かに番頭が出てから一刻も経った後だろうな」

「手代の巳之松と丁稚の三吉が締めました。間違いはございません」

「その間お前は何をしていたんだ」

「帳場で帳合を見ておりました」