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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

番台のお神さんに訊くと、

「そんな事がありましたよ、――板の間稼ぎはよくあることですが、あんまり新しくない三尺を盗んで行くのは変じゃありませんか」

「その時、男湯へ入っていたのは誰だい」

「横町の古着屋の隠居と、町内の手習師匠と、――三尺には用のない方ばかりでしたよ」

「それだけか」

「小柳町の伊丹屋の若旦那が入っていました」

「珍しい人だね、小柳町は遠すぎるじゃないか、それに、伊丹屋なら内風呂があるだろう」

「師匠のところ――親分も御存じでしょう、お舟さんのところへ入浸っている頃は、伊丹屋の若旦那がよくここへ見えましたよ」

「なるほど」

そう言えば一向不思議はありません。

平次はそんな事で諦めて帰って来ると、それから一刻ばかり経って、ガラッ八は息せき切って飛んで来ました。

「親分」

「どうした、八」

「変なことがありますよ、――あの町内の蕎麦屋で訊くと、昨夜お舟のところで、確かに蕎麦を三つ取ったと言うんで――」

「フーム」

平次の見当は見事に当りました。

「ところが、不思議なことに戌刻(八時)少し前に持って行くと、お舟も和助も――二人とも居なかったというじゃありませんか」