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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁
室町三丁目の筆屋、小法師甲斐の家で百物語をやっていると、大詰に幽霊が出た。その幽霊が殺されて足を出したという話で――」
「なるほど少し筋になりそうだな。足を出したんなら、幽霊が殺されて人間になったには違えねえ。一体その幽霊は誰だったんだ」
「番頭の左太松という二十七の若い男、――そいつが百物語が済んで、灯がみんな消えるのを合図に、芝居の幽霊の装束で出て来て、あっと言わせる趣向だったんで――」
「フーム」
「出て来てあっと言わせたまでは筋書通りだった。が、いざ宙乗りとなった時、腰へ結ぶはずの綱が頸に巻き付いて、宙乗りが首吊りになったそうで」
「少し変だな、八」
「自分で頸を縊る気でもなきゃ、そんな馬鹿な事をするわけはありません」
「頸を縊るのに、そんな手数な装束をして、皆んなの前で恥を曝すわけはねえ」
「だから変じゃありませんか、ね、親分」
「もう少し順序を立て、詳しく話してみるがいい。そいつはとんだ面白いことかも知れないぜ」
平次の職業意識は漸く発火点に達しました。注意が朝顔から離れると、ガラッ八の方にグイと身体をねじ向けます。
「詳しくも手短にも、それっきりで、――常盤橋の猪之吉親分が行って、夜っぴて幽霊殺しを捜している様子ですよ」