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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

「それじゃ、本当の下手人を御新造さんは知っていなさるんですね」

「いえ、とんでもない」

お小夜はひどく驚きました。

「御新造さん、左太松を怨んでいる者があるはずですが、――そいつは誰ですか」

平次はこう言いながら、お小夜の顔に去来する感情の動きをジッと見ております。

「私は、何にも――」

お小夜は見透かされるのが怖かった様子で、頑なに首を振ります。

「左太松は可哀想じゃありませんか。遊び事と言っても、幽霊になったまま殺されちゃ」

「…………」

お小夜が、死んだ左太松の方を好きだった――と番頭の理三郎は明らさまには言わなかったにしても、理三郎の口裏と、お小夜の絶望的な顔色から、平次が見抜いてしまったのに何の不思議もありません。

「これは兄さんの甲子太郎さんを助けるのに、大切なことですよ、よく分別を定めて返事をして下さい」

「…………」

何やら襲いかかる圧迫感に、お小夜は肩をすくめました。

「死んだ左太松が、お国と一緒になる前、御新造さんと約束をしたことがありゃしませんか」

「と、とんでもない」

お小夜の怯え抜いた顔を見ると、これ以上は平次も追及が出来なくなります。

漸く解放されて、いそいそと奥へ行くお小夜の後ろ姿を見送って、