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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁
「…………」
「父親の遺言状は宝屋が預かっている、それには、お福とこの錦太郎を一緒にする約束が書いてあるはずだ。万一、二人が一緒にならない時は、三千両の金は利息をつけて俺に返さなければならない。十年の利息をつけて、三千両の金を返すことは、今では多賀屋の身代を振っても出来ないことだ」
「…………」
「お福を俺の嫁にしても、ゆくゆくは仲屋のものは仲屋に返さなければなるまい。――悪智恵のたけた勘兵衛は、俺を聟にして多賀屋の養子に直し、難癖をつけて追出すことを考えた、――売女根性の――江戸一番の性悪娘を、この錦太郎に押し付け、否応言わせぬ祝言をさせようというのは、みんなそのためだ。俺は断ったとも。一応も二応も断ったが、――十年越しの借金を払って、母一人を安穏に養うためには、断ってばかりもいられなかった。――口惜しいが俺は承知した、言い交した女には因果を含め、――母にも観念して貰って――」
錦太郎は泣いておりました、苦渋の色が顔一面の筋肉を痙攣させて、声のない嗚咽が、ときどき激情の言葉を吃らせます。
「それからどうした」
と穏やかに平次。
「俺は捨鉢になった、が、母が生きているうちは、命を捨てて多賀屋へ斬込むわけにも行かない。