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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

南北町奉行は、配下の与力同心に命じ、江戸中の御用聞を総動員して、この悪鬼のような犯人を探させましたが、何としてもわかりません。犯人がわからないばかりでなく、何の目的で選り抜きの美しい娘ばかり殺すのか、皆暮見当も付かないのです。そのうえ死体は、洗い落してはあるが、歴々と全身に金箔を置いた跡があります。

「これだこれだ」

銭形の平次は一人頷きながら、宵闇の中をすかして、唐花屋の裏口から出て行く駕籠の後を追いました。その中にお静が入れてあることは最早疑う余地はありません。

駕籠に無提灯のまま、音羽の裏通りを真っ直ぐに、今の護国寺、その頃の大塚御薬園の裏門へ、呑まれるように入ってしまいました。

「やはりそうだ」

平次はこのまま引っ返して、笹野新三郎に報告した上、御薬園へ手を入れさせようかと思いましたが、御薬園の見識は大したもので、若年寄直々の指令を受けなければ、町奉行では手の付けようがありません。そんな事で暇取っている内に、お静の命が絶たれては一大事。

「まずお静を助けよう」

後で考えると、それはたぶん盲目的になりかけていた、平次の恋心がさせた思案でしょう。