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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

「それが見込み違えだというのか」

と平次。

「お蔦は芸者稼業こそしているが、親孝行で心掛けの良い娘だ、人を殺すか、殺さねえか、親分」

「大層腹を立ててるようだが、誰かに頼まれて来たんじゃあるまいな、八」

「ヘエ――」

「誰だか知らないが、門口で赤いものがチラチラするようだ、ここへ通すがいい、――お静」

「はい」

女房のお静は心得て門口へ行った様子ですが、何やら押問答の末、モジモジする娘を一人、手を取らぬばかりに伴れて来ました。

「お前さんは?」

平次も少し面喰らいました。まだほんの十七八、身扮は貧し気な木綿物ですが、この界隈でも、あまり見かけた事のない良い娘です。

「へッへッ、――お蔦の妹ですよ、親分」

ガラッ八は不意気に五本指で小鬢などを掻いております。

「早くそう言やいいのに、――なんと言いなさるんだ」

「お絹さんてんだ、親分、――あっしの叔母さんの知合いで」

ガラッ八はまだモジモジしております。

「お絹さんと言うのかい、――一体どうしたというんだ。みんな話してみるがいい。俺の力で及ぶことなら、なんとかして上げよう」

銭形平次が、こう言うのは、全くよくよくのことでした。