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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

「あッ、脅かすぜ、爺さん」

平次はそんな無駄を言いながら、この闖入者を迎えました。

「銭形の親分さん、お助け下さい。一生のお願い、親分を見込んで、命がけで飛んで来ました」

「おだてちゃいけねえ、俺は人に拝まれるような悪いことをした覚えはねえ、――まア、落着いて話してみるがいい」

平次はお静を顎で呼ぶと、冷たい水を一杯持って来させ、それを作松に呑ませて、ともかくも落着かせました。

「親分、お願い――」

「また拝むのかい爺さん、わけも言わずに、いきなり拝まれちゃ、面喰らっているだけだ。わけを話してみねえ」

平次と、ガラッ八の八五郎に慰められて、作松はようやく落着いた心持になりました。

その訥々とした口調で、どうにか呑み込ませたのは、今日の昼頃から起った、笛の春日藤左衛門一家に起った出来事の顛末です。

「――こんなわけでございます、親分さん。禁制の賦とやら、不気味な笛の音のする最中、私は裏の物置の中を片付けていました。笛も済んだようだから、庭でも掃く心算で、お嬢さんの部屋の前まで来ると――」

「…………」

作松はゴクリと固唾を呑みます。無言でその先を促す平次。

「お嬢様は首に縄をつけて、部屋の真ん中に俯向きに倒れていなさるじゃありませんか」