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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁

青空文庫

「驚いたね、こっちは一日ハラハラしていましたぜ」

「それは気の毒だ」

平次はいっこう気の毒そうにもしません。

二人は山崎屋に御輿を据えました。葬式が済んだばかり、何となく落着かない家の中へ、岡っ引を二人迎えて、あんまり嬉しい顔をする者はありませんが、平次はいっこう平気で、お染を引付けて、いつもにない杯などを取ります。

「なア、お染坊、隠居はとんだ可愛がりようだったそうだが、あの通り死んでしまったし、万吉はお前と一緒になろうか、どうしようかと考えているようだから、いっそのこと、ここに居る八五郎と一緒になる気はないかえ」

「親分」

驚いたのは八五郎です。

「黙っていろ、手前だって満更じゃあるめえ。――なア、お染坊、こんな野郎だが、これで八五郎はとんだ親切者さ、――仲人は俺がするよ、嬉しかろう」

「まア、親分、そんな事を」

お染も少し持て余し気味のようですが、さすがに逃げもならず、モジモジと銚子ばかり撫でております。

「ついでに今晩、三三九度の杯はどうだ。悪くねえだろう、な、おい、お染坊」

平次の酔態が少しひどくなると、八五郎は急に真面目になりました。つい先頃の裏返し輪飾りの件を思い出して、この酔態には何か、わけがありそうに思えてならなかったのです。