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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁
小枝がはねて顔を打ち、袖口が裂けた。捉まった枝が折れて、転げ落ちそうになることもあったが、やがて斜面を登りつめて、台地のような処へ出た。
そこは次の山腹に沿って南北に延び、北のほうが高くなっている。さっき下に聞えた声のちょうど上を通ることになるが、かれらの目標にしている大松というのは南に寄っているので、休之助は北に向って走った。
「待て、逃げられはせんぞ」うしろで声がした。
枯草のびっしりと繁ったゆるい勾配の台地を三十間ばかりゆくと、向うに、西日をうけた明るい山が見えた。花崗岩質らしい、松林の疎らに生えている地肌が、白くきらきらと日光を反射させていた。
「――加波山だな」
休之助がそう呟いた。
そのとたんに、すぐ脇のところへ、二人の侍がとび出して来た。休之助の目測は誤っていたらしい、登ってくるかれらのほうへ、こっちから近寄ったようなものである。
「あっ、――」
休之助も驚いたが、相手も吃驚したとみえ、あっといって棒立ちになった。
三
相手の二人の大きくみはった眼と、あっといったまま口をあけた、驚愕の表情を見たとき、休之助はさっと刀を抜いた。
いま急斜面を登りつめたばかりで、まだ苦しそうに喘いでいる二人は、休之助が抜いたとたんに浮き腰になり、「おーい、いたぞ、こっちだ」