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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁
三尺の土間には蓑や合羽が掛けてあり、四帖半だけ畳の敷いてある部屋も、納戸がないとみえ、隅には夜具がつくねてあるし、脱ぎっ放しの仕事着だの、なにかの包だのがごたごたして、足の踏み場もないようなけしきであった。
縁の欠けた火鉢に、火を熾して待っていた若い下男は、虎造が帰るとすぐに出ていった。
「一杯やってゆけ」
虎造はその若者に云った。
「たなごの焼きたてでぐっと一杯どうだ、温たまって寝られるぜ」
「有難えがまたにしよう」
と若い下男は答えた。
「明日の朝が早いから、諄いようだが火を頼みますぜ、此処は火を禁められてる処なんだからね、いつもと違って預かった物があるんだから」
「わかってるよ、うるせえな、念にや及ばねえってことよ」
若い下男は去った。
虎造はうるさいからと云って、雨戸を閉め、火鉢に炭を足して、たなごを焼きはじめた。毎年やり慣れているのだろう、古い竹串の束を出し、魚を五六尾ずつ刺して、金網の上で焼くのである。
万三郎は酒の燗をつけた。
酒は一升徳利が二本用意してあった。それを燗徳利に移し、火鉢(一つしかないので)からおろした大きな湯沸しで燗をするのである。