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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁

青空文庫

というのが、七代宗将の長男が重倫といい、これが八代を継いだ。九代はその子の治貞であるが、治貞には女子ばかりで、二人生れた男子は早世したため、重倫の三男である治宝、つまり治貞の弟が世子に直ったわけであった。

この世子問題のとき、頼興は自分が推されるものと思った。現に重倫(頼興にとっては長兄に当る)が、そういう口約を与えたとさえいわれるくらいで、もちろん真偽のほどはわからないけれども、頼興はその点に相当つよい希望をもっていた。

それが期待外れになった。

もしも右の話が真実とすれば、頼興のあまりに奔放な性格が嫌われたのかもしれない。そうして、その失望がさらに彼の性格に火をつけ、ついには、紀州へ蟄居させられるようなことになったものかとも、思われるのであった。

右のような情勢とすれば、イスパニアと密契して、「朱雀事件」という桁外れな陰謀を企図したことも、ほぼ頷かれるのであるが、しかし、それは頼興ひとりで為し得ることではない。頼興の豪放不羈な性格と、その立場からくる不平不満とに乗じて、頼興にとりいり、頼興を煽動して、この企図の頭首にした人物がいる筈である。

――慥かに背景がある、頼興よりも、もっと直接にイスパニアと通謀し、ぜんたいの実権を握っている人間がいる。