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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁

青空文庫

と屁十はまた腕捲りをした。

「おかげであにいはまた眼が見えなくなり、金杉からこの深川のこっくりさままで、五十日の余もお灸に通ったんだ」

「そうらとも、五十日の余も」

「その御利益でようやく見えるようになったが、五十日余の日当とこっくりさまへ払った療治代はどうしてくれる、さあ、これをどうしてくれるか返答しろ」

「そうら、これをろうしてくれるんら」

「やかましいね」

おちづは鼻で笑った。

「日当や療治代が欲しかったら、番太にでも訴えて出たらどうだい、恐れながらおちづ姐さんを手籠めにしようとして、殴られてこんなことになりましたってさ、そうすればきっとたんまり日当を下さるだろうよ」

「な、なんだと、このあま」

「どいてくれってんだ、あたしは用のあるからだなんだよ」

「――どうしたんだ」

うしろで声がした。おちづが振返ると、若い侍が立っていた。

花田万三郎であった。二人はもちろんお互いを知らない、万三郎は兄からいいつかって、覆面の武士に会うため、料亭「升屋」へゆく途中、そこへ通りかかったのである。

「――よう、おまえたちか」

と万三郎は、三島と屁十を見て、驚いて云った。

「たしか権あにいとかいう男の子分だったな、そうだろう」