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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁

青空文庫

「そうだ、半次の云うことは嘘だよ」

「あっ――」

と半次が振返った。彼は近づいて来る万三郎に向って喧嘩腰でくってかかった。

「なにが嘘ですか、おらあいっしょにゆくんですぜ、中谷さんに訊いてごらんなさい。ちゃんと約束がしてあるんだから」

「まあいい、そう怒るな」万三郎はにこにこしながら、

「おまえたち二人にはずいぶん厄介をかけた、この私までが二度も危ないところを助けられている。もうたくさんだ」

「おいら自分の好きでやってるんですぜ、そんな水臭いことを云わねえでおくんなさい」

「わかってるよ、わかってるが物には切目ということがある。私たちの仕事もどうやら最後のひと押しというところへ来たし、もうおまえたちの力を借りなくとも済む、おまえとちい坊のことは花田の兄が引受けるから、こんどは江戸で待っているんだ」

「それは、――それは、中谷さんも承知したんですか」

「もちろんさ」

万三郎は半次の肩を叩いた。

「なあ半次、私はいま向うで、ちい坊の云うことを聞いていた」

あらっと云って、おちづはぱっと、両手で顔を隠した。

「おまえはむやみに怒っていたが、私はちい坊の云うことが本当だと思う。