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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁

青空文庫

「出立の支度を始めました」

と休之助に告げ、すぐに身拵えをしようとした。それを見て、兵馬がひやかすように云った。

「よしたほうがいいぜ、どうやら寝ころんで見物することになりそうだ、襷や鉢巻をして寝ころぶというのも妙なものだろう」

「寝ころんでどうするって」

「あれを見ろよ、火繩をかけた鉄砲が五挺、あのとおりちゃんと控えているんだ」

指さされて、嘉助は大股にそっちへゆき、霧の中にいる鉄砲組の者を見ると、むっとふくれ顔になった。

「――飛道具か」

さも軽蔑したように云うのを聞いて、万三郎はますますぐあいの悪そうな表情をし、脇のほうへ避けてゆきながら、

――なんとまあ暴力行為の好きな連中だろう。

と思った。

霧がにわかに動きはじめた。

六

霧が動きはじめるのと共に、みるみる空が明るくなり、東の雲が赤く染まりだした。

紀伊家の一行が勢揃いを始め、吹きだした弱い東南の風に、霧が薄れてゆくなかを、やがて出発するのが見えた。

休之助が手を挙げた。

それが配置された人々のほうへと、次ぎ次ぎに伝えられ、眼に見えないなにかがはしりでもするように、颯と緊張が拡がった。

行列はこちらへ進んで来た。