Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens
「御長男様を、調伏した形代と心得ますが――」
三人の眼が光って、一時に、人形へ集まった。左源太が
「裏側を――」
声に応じて、将曹が、人形を裏返した。小藤次が、首を延して、覗き込んだ。
「或いは、調伏の人形かもしれぬ――どこで、手に入れたな」
「御病間の床下から――仙波の倅が、手に入れました」
将曹は、うつむいている仙波へ、じろっと、眼をくれて
「これが、調伏の形代として、誰が、一体寛之助様を呪うたのじゃ」
二人は、将曹を、じっと見たまま、暫く黙っていた。左源太が
「その儀は、この人形を埋めました者を詮議すればわかると存じます」
「心当りでもあるか」
「ございます」
「申してみい」
小藤次と、伊集院とは、二人を、見つめたままであった。
「恐れながら――」
仙波が、懐から、紙を取出して、伊集院の方へ押しやった。
「この二つの筆蹟から判じまするに、牧仲太郎殿の仕業と、心得まする」
将曹は、人形を持った手を、膝の上へ、落すように置いて
「牧だと――」
「その、書状の筆蹟を――」
と、までいうと、少し、赤い顔になった将曹が
「仙波――名越。この人形を、その方共が作り、牧の筆蹟を似せて書いたとされても、弁解の法が立つか」