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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens

Aozora Bunko

玄白斎は、小首を傾けて、まだ何か考えていたが

「一人も、もし、居らなんだなら、高木へ廻って、高木を邸へ呼んでおけ。それから」

玄白斎は、和田の眼をじっと見ながら

「何気なく、遊びに行ったという風で、聞きに行かんといかん」

玄白斎は、こういって、静かに左右を見た。そして、低い声で

「牧は斉彬公を調伏しておろうも知れぬ」

和田は、口の中で、はっといったまま、うなずいた。

「わしの推察が当って、もし、貴島、斎木らが四人ともおらなかったなら、一刻も猶予ならん。すぐに延命の修法だ」

「はい」

「斉彬公の御所業の善悪はとにかく、臣として君を呪殺することは、兵道家として、不逞、不忠の極じゃ。君の悪業を諫めるには、別に道がある。もし、牧が、軍勝の秘呪をもって、君を調伏しておるとすれば、許してはおけぬし、左はなくとも、秘法を行っている上は、何んのために行っておるか、聞きたださぬと、わしの手落になる」

和田は、玄白斎の考えていたことが、すっかり判った。そして、判った以上、すぐに、命ぜられた役を、出来るだけ早く果したいと、気が、急いてきた。それで、大きく、幾度もうなずいて

「それでは、一走りして。