Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens

Aozora Bunko

「あいつ、大阪を逐電したが、今度参ったなら、元々へ戻るよう、よく申し聞かせておいてやれ。よく働く――親爺に似て、なかなかの才物じゃ」

「はっ――それでは、万事、お任せ下されますか」

「うむ」

「では、早速に――」

平は、こう云って、腰を上げたが

「横目付は、和田と、四ツ本に致しまして、大目付は――」

平は、首を傾けて

「川上――これなら、藩中で、公平の噂の高い男ゆえ――」

「川上か。よかろう、他国へ聞かれても、偏頗の沙汰があっては、悪い。川上はよい」

「裁許掛は、川北孫左衛門ということに、致します」

「よし、任しておく」

「はっ。では、これにて」

「御苦労」

平が、一礼して立上ると

「ついでに、由羅へ、もう、用は済んだと、申しておいてくれんか」

「かしこまりました」

「うるさい世の中じゃの。わしも、早う、隠居したいわい。今に、わしの首まで覘う奴が出るかも知れんて――」

平は、立ったまま聞き終って、障子を開けて、出た。

「由羅へ、申してくれ」

と、斉興は、もう一度云った。そして、欠伸をして、老眼に、涙をためていた。それから、紙を出して、力無さそうに、鼻汁をかんだ。

廊下へ、出迎えている士に