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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

Read 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,573 characters · 178 screens

Aozora Bunko

「どうです、うまい工夫でしょう」

「工夫は良いが、曲者の姿でも見窮めたのか」

「何んにも見やしませんよ。口惜しいが、サッ、ポロリだ。あわてて其辺中捜し廻ったが、犬の子一匹居ねエ。ありゃ魔物ですね、親分、――その癖今朝見ると、あっしの付け髷が、麗々しく高札場にブラ下がって居るじゃありませんか、その上青江備前守この方二度目の貼り紙だ、――御用聞八五郎殿の髷――とね」

「フーム」

「あんまり癪にさわったから、高札場の石垣の上に立って、大きな声でやりましたよ、――憚り乍ら八五郎は銭形平次の子分だ。素直に髷などを切られる人間じゃねえ。嘘だと思うならこれを見ろ、此通り――とね」

「だが、容易でない相手だな、――ところで、見張りを付けて置いた三人はどうした」

「安宅の弁吉も、小人の三次郎も、俵右門も此四五日は神妙に家に居て、一寸も敷居の外へ出ませんよ」

「フーム、いよいよむずかしい、今度は俺が髷を切られる番かな」

「親分が侍姿で出かけるんですか、――鬘の古いのを捜して来ましょうか」

「そんな術は二度きくもんか」

「所で、青江備前守の方の調べはどうです」

「あの殿様は身持がよくないな。