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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

Read 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,573 characters · 178 screens

Aozora Bunko

三

好い男で、若い頃は道楽がひどく、親類の余され者だったそうですが、姉のように世話になって来た、巴屋の内儀に引取られて、今では神妙に帳場に坐っております」

「それから」

「死骸を見付けた下男の甲子松は、これは二十五六の、勝負事と喧嘩が好きで、用心棒には持って来いの胆っ玉の太い男。こんな野郎も、何をするかわかりません。そのうえ、十八になったばかりの娘のお絹にぞっこんで、まるで夢中で見ちゃいられないとお六が言いますよ」

「そのお六というのは」

「高輪の旅籠屋の女中だから、宿場の飯盛じゃありません。尤も顔に似気なく良い声で、唄が上手だから、上り下りの旅馴れた客にはよく知られています。もう一人の女はお梅と言って二十歳くらい、これはちょっと様子は良いが、酌をするよりほかに能はありません。ところで、もう一人」

八五郎は膝を進めるのです。

三

「あとの、もう一人が臭いようだな」

八五郎の話の先を潜って、平次は言い当てるのです。

「その通りで、金杉の竹松親分も、こいつが一番怪しいと言いましたが、一つも証拠がないので、縛ることが出来ません」

「誰だい、それは?」

「主人の甥――と言っても義理の甥なんだそうで、掛り人の与茂吉、二十二三の良い若い者ですが、少しばかり学があって、筆跡が良いから帳面を預っているが、これが何んと、江戸一番の腰抜けで、類