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ぜにがたへいじとりものひかえ
橋の上の女 ――銭形平次傑作選2
野村 胡堂
Read 橋の上の女 ――銭形平次傑作選2 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 88,573 characters · 178 screens
七
前の穴は空っぽだったが、後ろの穴には瀬戸物の破片が一パイ詰っていたよ。勘三郎が小判を捜し出したのは、たぶん後ろの方の穴に違いあるまい。人殺しの謎は、この辺から解けて行きそうだよ」
「そうでしょうか」
平次の自信あり気な言葉を、お六は軽く聴き流しました。
七
まもなく、番頭の勘三郎も、番屋から帰されました。金杉の竹松親分も、後から後からと出て来る反証に、一人一人縛った縄を解かされ、すっかり腐ってしまった――と、これは町役人たちの噂です。
勘三郎が戻ってくると、平次はそれを一と間に呼んで、何やら沁々話しておりましたが、やがてもういちど裏へ出て、崖の上から下、井戸端のあたりを、提灯をつけて念入りに調べ始めました。
夜はしだいに更けて行きます。お通夜の人たちも大半は帰って、仏様の前にはほんの少しばかり残るだけ、通夜の小僧が、ときどき眠そうにお経をあげております。
「お六、ちょいと来てくれないか」
平次はその中で何彼と立ち働いている。下女のお六を呼び出しました。
「何んでしょう親分。皆んなの疑いを私が解いてやったのに、まだ何んかわからない事があるんですか」
後ろから面白そうについて来るお六。