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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 152,696 characters · 310 screens
そこで、お家の体面論を真っ向に、お菊の茶屋へ案内して、この事件を惹起した、柴田、吉住の両名へ、詰問したのでした。
「御両人と申しても、これは多分、吉住様お一人へ奥方からおっしゃったのでございましょう。吉住様は文武の達人で、酒井様から、奥方付として、御輿入に従って植村家へ入られ、そのまま御用人に取立てられた方でいらっしゃいます」
「…………」
平次の言葉に、両士は黙って聞入りました。ここまでは事件の図星を言い当てた様子です。
「吉住様からは、土佐守へは諫言は申上げにくい。が、奥方の思召しを無にして、土佐守様が卑しい女を召出されるのを、そのままにもならず、柴田様とお二人が、お菊を見出し橋渡しまでなすった形なので、悉く閉口されたことでしょう」
「…………」
「この上は、下屋敷へ迎え入れる前に、お菊を殺す外はない。植村家安泰のため、一つはまた、土佐守様と奥方の仲を無事に納めるため、お二人のうちの一人――それも私は存じております」
「…………」
「――お菊を四五日付け狙ったことでございましょう。とうとう、明日は下屋敷入りという前の晩、風呂から帰るのを首尾よく斬った、が、――前後から人が来て逃げようはない。