Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 152,696 characters · 310 screens
七
村の庄屋の御隠居は三年も五年も書いていたが、あれは多分億という字だろう――って」
「ハッハッ、こいつは手前の負だ。お越の方が役者が上だよ」
平次はカラカラと笑いました。
七
翌る年の二月、丸屋の主人源吉は、親類縁者――わけても妹のお松の反対を押切って、両国の水茶屋の女、お楽を二度目の女房に迎えることになりました。
世間の噂を憚って、祝言は極く極く内輪に、三三九度の盃事も形ばかり、「高砂や」を謡い納めて、お開きになったのは宵のうち、花嫁のお楽が、仲人に導かれて、離屋の寝室に入ったのは、まだ亥刻半(十一時)そこそこでした。
母屋にはいろいろの不祥なことがあったので、新夫婦の部屋を、離屋に定めたのは、主人源吉の心尽しでしょう。
その離屋から、子刻(十二時)過ぎになって、思いも寄らぬ火事が起ったのです。
「それッ」
と母屋に待機していた若い衆、町内の鳶の者が、揉み消すように消してしまいましたが、離屋に寝ていたはずの、主人源吉と、花嫁のお楽の姿は見えません。
「旦那、旦那ッ」
驚き騒ぐ人々の中へ、ヌッと顔を出したのは、銭形の平次でした。
「皆の衆、騒ぐことはない、主人も花嫁も無事だ。